感想
「Ⅱ」の放送終了後、次作の「Ⅲ」の放送中に公開されたのが、映画「スケバン刑事」です。
「Ⅱ」の劇場版として最終回のその後を描いているんですが、シリーズ全体としては初の映画だったこともあり、タイトルにいきなり「Ⅱ」ってついてたら紛らわしいやろ!ってことで、シンプルなタイトルの「スケバン刑事」になっています。
それはそれで、斉藤由貴さんの初代「スケバン刑事」と紛らわしいと思いますが…(笑)
・次作の放送中に公開
・次作の主人公と共演
という、今日で言う仮面ライダーの冬映画みたいな内容になっており、2代目の南野陽子さんと3代目の浅香唯さんが共闘するシリーズで唯一の作品になっています。その点だけで見ても非常にアツい映画です。
ただまぁ、浅香唯さん演じる風間唯はあくまで2代目サキの仲間その3みたいな立ち位置。
ライダーの冬映画のような新旧主人公による二大主役って感じではなく、かといってライダーの夏映画のような新主人公のゲスト出演って感じでもなく、新旧主人公の共演映画としては不思議なテイストの映画になっています。
東映がスーパー戦隊VSシリーズやMOVIE大戦シリーズでヒーロー共闘映画のフォーマットを確立させる前に作られたヒーロー共闘映画(なのか?)なんだと考えると、唯の独特な立ち位置に味わい深いものを感じると思います。
浅香唯さん以外の出演者も非常に豪華。
TVシリーズに引き続きの吉沢秋絵さん、相楽ハル子さんに加え、後に「Ⅲ」でラスボスを演じる小林亜也子さんが2代目サキの仲間として登場。
セーラー服少女5人のヒーローチームというのは、後のセーラームーンの源流になったのではという気がしてきます(?)
敵の親玉役は、ウルトラマンジョーニアスこと伊武雅刀さん。サイボーグの機械の体を露出した顔がまんま「ターミネーター」なところが東映らしさ。
その他にも坂上忍さん、杉本哲太さん等、今も活躍されている俳優さん、タレントさんの姿がずらり。
若干マニアックなところでは、序盤のシーンで坂上忍さん演じる和夫を追いかけている悪人2人は佐藤信一さん(「特警ウインスペクター」他)と片岡五郎さん(「電光超人グリッドマン」他)。
地獄城の教官役に、TVシリーズにも敵役で出演していた声優の大友龍三郎さん。
また、TVシリーズでレギュラーキャラを演じていた小野寺丈さんに、この後「Ⅲ」にも出演する坂井徹さん(ドクター・オブラー)なんかもモブ生徒役で出演しています。小野寺丈さんはただでさえ初代サキと2代目サキそれぞれの同級生役だったのに、またも別役とはさすがにどうなんでしょうか(苦笑)
出演キャスト的に、特撮ファンもニヤニヤしながら見ることの出来る良い映画ですね。
本作はTVシリーズ撮影終了からしばらく経った後に撮影したようで、お京役の相楽ハル子さんの髪がだいぶ伸びているのが印象的です。
お京のトレードマークといえばショートヘアーですが、映画の髪型もこれはこれで良いもの。ボーイッシュキャラが続編で髪が伸びるのって、良いですよね。
ちなみに、劇中では2代目サキとお京は久しぶりに会ったということになっているんですが、2人は同じ学校の同じクラスだったので、久しぶりに会ったというのは結構不自然。
雪乃が海外に留学することになっているため、梁山高校を卒業後(4月頃?)の時期設定かと思ったんですが、それにしては2代目サキは梁山高校の制服で図書館にいるし、まだ受験勉強中らしいので微妙に釈然としません。
もしかすると、2代目サキだけ留年してしまった設定なんでしょうか?(笑)
まぁ1年間の戦いメチャクチャ大変だったし、学業が疎かになってても仕方ないとは思いますが。実際「Ⅲ」では1人留年しましたし。
ラストバトルでは2代目サキの新ヨーヨーが登場。ノリが完全にヒーロー映画ですが、だがそれがいい。
投げるための専用のフォームがあるのもいいですよね。通常のヨーヨーと違い、ヨーヨーがきりもみ回転しながら飛んでいくのも特別感があっていい。まぁ、ヨーヨーがきりもみ回転したら手元に戻ってこないだろうとは思っちゃいますが。
この究極のヨーヨー、使用前に内部に重りを装填する描写があるんですが、内部にはお馴染みの桜の代紋があるはず。内部構造どうなってんの?
まぁ、「スケバン刑事」のヨーヨーの内部構造、気にし始めたらキリないか(笑)
本作の終盤では、ここ以外で見られないであろう風間三姉妹と西脇(蟹江敬三さん)の絡みが見られます。
唯は西脇に頼まれて2代目サキを助けに来ているので、事前に出会ってはいたんでしょうが、視聴者の前では初絡みの2人が「よく生きて帰ってきた」って感慨深げに会話されても違和感が凄い(笑)
風間三姉妹の姉2人、大西結花さんと中村由真さんもこのラストシーンのみ登場。出来れば、2代目サキ、雪乃、お京、風間三姉妹の6人で活躍する姿が見たかったものです。風間三姉妹はTVシリーズを並行して撮影しているので、難しかったんだとは思いますが。
唯が本作でそこまで活躍しないのも、出番が多すぎるとTVの撮影に影響が出るからってことだと思います。実際、映画と時期が被っていたであろう「Ⅲ」のエピソードでは、唯の出番が極端に少ない回があったりしました。
当時、全員がバリバリに売れっ子のアイドルだったので難しいとは思いますが、ドラマ「スケバン刑事」シリーズが原作者に怒られずにシリーズ継続できていたら、6人が再び共演できる機会もあったかもしれないと考えるとつくづく惜しいですなぁ。
志織&唯のサキチーム、雪乃&結花のしっかり者チーム、お京&由真のツッパリチームで、戦隊VSシリーズ的な画が見られたかもと思うと本当にもったいない。
将来、過去に戻れるタイムマシンが作られたら、「Ⅱ」と「Ⅲ」のメンバーが共演する映画が作られるように歴史改変したいと思います(笑)
本作の主題歌は、南野陽子さんの「楽園のDoor」。「スケバン刑事」の南野さん曲の中では一番しっとりした曲になっており、これで2代目サキともお別れか…としんみりした気分にさせられます。
南野さんと浅香さんのキャラクターの違いもあると思いますが、のびのびした曲調の次作の主題歌「Believe Again」とは対照的。
ということで、映画「スケバン刑事」の感想でした。
TV版で信楽老との決着はつけたということで、「少女鉄仮面伝説」の映画なのに鉄仮面は出てきませんが、TV版であれだけ擦ったんだから映画にもどうにかして出せばよかったのに…と思うところです。
2代目サキの戦いはこれで終わり、初代サキみたいにその後の映画に登場することもなかったので、これで本当に見納めになりました。
筆者は、本作がたまたまアマプラで配信されていたのを見つけて初視聴したのですが、その後なんやかんやあってシリーズにハマり、TV版を全話視聴した後に改めてこの映画を見ました。
改めて見ると、TV版に引き続いて登場するという貴重な役どころの平田たい子が、何にも活躍することなく出会い頭にヘリに撃たれて退場する展開が、メチャメチャすぎてツッコまざるを得なかったり、先述の通り小野寺丈さんがTV版と別役で出てるのに気付いたりと、TV版を見た後だからこそ分かるポイントも多くて楽しめました。
出来ることなら、TV版の放送当時の熱気の中でこの映画に出会いたかったな…
80年代という奇跡の時代が生み出した名作の劇場版「スケバン刑事」。未試聴の東映特撮ファンの方、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか?