感想
前作の映画と同じように、「Ⅲ」の放送終了後に公開されたのが、映画「スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲」です。
前作に引き続いて映画タイトルからはナンバリングが外されていますが、副題に風間三姉妹と入っているのでかろうじて何の映画かは分かるところか。
前作は新旧主人公の共演という要素がありましたが、本作は「Ⅱ」や後番組の「少女コマンド―IZUMI」キャラクターの出演などはなく、純粋に「Ⅲ」単独の劇場版となっています。
TV版にて影との戦いは終わりを迎えたので、映画では正義と悪の忍者バトルではなくなって本来の「スケバン刑事」らしい任務のお話になっているのですが、それはそれで「Ⅲ」らしさがなくなって寂しい。
唯のトレードマークであったセーラー服の下の鎖帷子もなくなってしまって、忍者らしさは皆無に。
まぁ忍者ものでなくなっただけで、どっちみち正義と悪の学生刑事の戦いになってるんで、大した違いはない気もしますが(苦笑)
風間三姉妹の最後の戦いを描く映画として概ね不満はないんですが、由真姉ちゃんが途中から最後までほぼ捕まりっぱなしで、三姉妹の中で極端に出番が少ないのが数少ない不満点。脚本上の都合だったのか中村由真さんのスケジュールのせいだったのかは分かりませんが、もうちょっとなんとかしてほしかったなぁ。
あと最大の不満は、般若=依田が序盤も序盤で死んでしまう点!
風魔結界の陣も生き残り、果心居士との戦いも生き延び、三姉妹と共に影との死闘を戦い抜いた依田が、学生刑事の不意打ちであっさりと死んでしまうのがどうにも納得いかん!(笑)
まぁ、それくらいやらないと、風間三姉妹が戦いに戻る理由がなかったということなんでしょうけども。
前作に引き続き、出演者も非常に豪華。
唯といい雰囲気になる味方側ゲストキャラクターには、「ゴジラVSキングギドラ」等で特撮ファンにもお馴染みの豊原功輔さん。
敵の親玉役は、特撮ファンにも馴染み深い京本政樹さん。「牙狼」シリーズを除けば、京本さんが特撮ものに出る時はだいたい善玉が多いので、そんな京本さんが特撮で悪役を演じているのは結構新鮮(スケバン刑事が特撮なのかは置いといて)
唯と最も敵対する場面の多い敵の学生刑事の筆頭、阿川瞳子役は藤代美奈子さん。この少し後に、「電光超人グリッドマン」の第19話「セクシー婦警SOS!」のセクシー婦警になります。
学生刑事が5年でセクシー婦警になるとは、世の中分からんなぁ…(?)
他の学生刑事には、前作「Ⅱ」のTV版に出演していた小沢和義さんや、今やベテラン俳優の椎名桔平さんも名を連ねています。椎名桔平さんはほぼセリフなしですが学生刑事では出番がそれなりに多く、ベテラン俳優の貴重な下積み時代を垣間見た気分になりますね。
その他、本作公開の1年後に「高速戦隊ターボレンジャー」でイエローターボになる片桐順一郎さんもチラッと出演しています。
先述の小沢和義さんも本作公開年に「仮面ライダーBLACK RX」に出演されてますし、こういったキャスティングを見ると、その作品の時代感のようなものが実感できて楽しいですよね。
本作はTV版と同じく、大西結花さんと中村由真さんによる挿入歌が新たに作られています。大西結花さんが「ミモザの奇蹟」で、中村由真さんが「君の夢に飛びたい」。ほぼ全てバトルソング調だったTV版から打って変わり、「ミモザ~」はしっとりした大人っぽい曲、「君の夢に~」はさわやか青春ソングになっています。
どちらもいい曲なんですがなかなか合うシーンがなかったのか、「君の夢に~」の方は堂々とバトルシーンに使用されていて選曲ミス感がハンパありません(笑)
まぁ、当の由真姉ちゃんがほぼずっと捕まってるので仕方ないんですけど。繰り返しますが、両方超いい曲です。
主題歌の方は、浅香唯さんの「Believe Again」。のびのびとした雰囲気が素敵な曲で、前作がだいぶしんみりした雰囲気で終わったのに比べて、本作はこの曲のおかげで明るい雰囲気のまま終幕します。
ED映像も九州の大地で仲良く乗馬を楽しむ風間三姉妹の映像になっていて、1年間厳しい戦いを乗り越えた3人が戦いから解き放たれた楽しげな姿にこの曲が相まって、いわゆる“エモい”気持ちにさせてくれますね。
3曲とも、TV版の曲に負けず劣らずいい曲です。
ただ欲を言うなら、3人のソロ曲は全部挿入歌にして、EDは3人曲という形なら完璧だった。やっぱり3人で歌った「Remember」が最高にエモかったから…(苦笑)
ということで、映画「スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲」の感想でした。
「Ⅲ」の後番組が「少女コマンドーIZUMI」になったので、本作は「スケバン刑事」シリーズの最後の映画となりました(後に松浦亜弥さん主演の映画が作られはしますが)。
本作でシリーズ終了ということでか、映画の冒頭に歴代主役3人の紹介があったり、ラストは唯が暗闇指令から直々にスケバン刑事の任を終了したことを言い渡されたり、とにかくこれで終わりだぞ!ってことを意識させてくる作りになっています。
シリーズ終了でなければ、続編の主人公が出てきてくれるお祭り映画になってたかもしれないのになぁ…
まぁそれはそれとして、果心居士という大悪党に人生を翻弄され続けた三姉妹が辛く苦しい戦いを乗り越えて、普通の少女に戻っていく様を見届けられたことは本当に感慨深いです。
TV版も充分ハッピーエンドだったんですが、唯のスケバン刑事としての任務も終わり、本当の意味で平和な日々を勝ち取った本作は真のハッピーエンドと言っていいでしょう。
シリーズの中で「Ⅲ」が一番好きな筆者にとっては、三姉妹の幸せそうな姿が見られただけで価値のある映画でした。
出番は少ないけど、髪が伸びてさらに綺麗になった由真姉ちゃんが可愛いし。
ただ、マジで依田が死んだことだけは納得いかんけどな…(笑)